スキがない総長の大胆な溺愛
蒼羽が、私の手を引っ張って、歩かせてくれた。
前を向かせてくれた。
『蒼羽…教室、こっちじゃないよ?』
『ん?そうだったかな』
『(あ…助けてくれたんだ…)』
優利と向き合わなかったのは、いけない事だけど…
私にはまだ、優利と話せるまでの勇気がないから…。
だから、蒼羽があの場に来てくれて本当に助かったの。
『蒼羽、ありがとう』
迷わずお礼を言った私。
だけど…そこから優利の行動は更におかしくなって…
どこぞの尽くす彼氏?っていうくらい、私を気にしてくれる。
家にいる今も――
「ね、ねぇ…蒼羽?」
「ん?なに?」
「何か…あった?」
今日は金曜日。
夜七時。
蒼羽の提案でハンバーガーを宅配してもらい、アパートで二人そろって食べているところ。
私の質問に「?」と疑問符を浮かべる蒼羽はポテトが好きらしく、さっきからしきりに手を伸ばしている。
「別に何もないけど?」