スキがない総長の大胆な溺愛
「え…?」
今度は私がキョトンとした。
そんな私の目に、信じられない物が写る。
「ここにあるよ、君のハンカチ」
「今…夜野くんのポケットから出した…?」
「うん。日向さんのハンカチは俺が盗んだから。君が教室に入って、俺の前を横切ったその時に」
「え……?」
ここで私は、初めて。
自分がマズイ状況にあると知る。
「(ヤバい。すごく逃げたい。イノシシのごとく速く逃げたい…!)」
そう。
もしかしなくても、私は…
「(夜野くんにはめられたんだ!)」
やっとその事に気づいて、急いで向きを変えた私の腕を――夜野くんはキュッと握った。