スキがない総長の大胆な溺愛
サッパリした気持ちでお風呂を出ると、なんと蒼羽が床の上で寝ていた。
いや、ちょっと待って…
「…本当に、寝てるだけ?」
蒼羽はいつの日か、お腹の傷が原因で気絶していた事があった。
あの時の蒼羽は、本当に息をしてないように見えて…
めちゃくちゃに焦ったのを、今もハッキリ覚えている。
あの日と、今…
状況が似ているだけに、お風呂上がりの私の体に、冷たい汗がにじみ出る。
「あおば…蒼羽!」
名前を呼びながら、急いで近寄る。
蒼羽の口元に手をかざすと…僅かな風が当たる。
よかった、ちゃんと息してる。
「本当に寝てただけなんだね」
ホッと安堵の息を漏らす。
だけど…同時に背徳感も覚えた。
「(優利の復讐相手なんだから、蒼羽相手に心配するのも、無事を安心するのも…。本当は間違ってるよね)」