スキがない総長の大胆な溺愛
そういえば、今日はまだ消毒していない。

ペラリと服を巻くって見えたのは、傷を覆うガーゼ。



「(ガーゼの大きさが、怪我に合わせてだんだん小さくなってきた。お腹…だいぶ良くなったね…)」



良かった――



そう思った時だった。



パシッ



「明里、何してるの」



いつの間にか蒼羽が起きていた。

ビー玉のようなキレイな瞳を向けて、私の腕を掴んでいる。



「え、あ……」



咄嗟のことで、何て言い訳しようか悩む私。

だけど蒼羽は、そんな私よりも…

何も置かれていない机の上に目をやった。

そして、



「……使わなかったんだね」

「え?」



ボソリと呟いた蒼羽の声は、私には届かない。

聞き返すと「何でもないよ」といつもの顔で笑った。



「それより、どうして泣いてるの?明里」
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