スキがない総長の大胆な溺愛
強すぎない力だから、握られても全く痛くない。
むしろ、彼が音もなく私に近づいてきたことの方がビックリする。
「なんで逃げようとするの?」
「に、逃げようなんて、そんな…!」
言い訳を必死に口にする私の顔…。
笑ってるけど、冷や汗がタラタラと流れる。
「すごい汗だね、夏みたい」
「(むしろすごく寒いんですけど…!)」
取り繕った私の笑顔。
それを見て勘づかない夜野くんじゃないらしい。
頭を少し傾けて、私を覗き見る。
口元には、尚も笑顔が張り付いたまま。
そしてニッと、口に綺麗な弧を描いて話すのは、こんなこと。
「日向さんさ、もしかしてだけど…
俺の事が怖い?」
「…っ!」
ビクリと反応した私を、彼は真っ直ぐに見た。
そして、何を喋るかと言うと…。