スキがない総長の大胆な溺愛
「うん。俺がわざと置いた。このハサミを、明里が復讐にどう使うか知りたかったんだ」



最後になるにつれ、声が小さく、細くなっていった。

まるで蒼羽の心臓がしめつけられていっているようで…同じように息苦しくなる。



「だけど」と、蒼羽。



「明里はハサミを使わなかった。寝てる隙だらけの俺に、何もしなかった。それだけで俺は…救われた気になったんだよ」

「…救われた?」

「うん」



明里は俺を裏切らなかった



「それが嬉しくて…それだけで満たされて…。俺の人生まだ捨てたもんじゃないなって、希望が持てた。

明里には昔の話をしていないから、これだけ聞くと大げさに聞こえるだろうけどね」



だけど本当に、救われたんだ――



そう言って、蒼羽は眉を下げて笑った。

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