スキがない総長の大胆な溺愛
「ごめん、今は…見ないで」

「なんで?」



ズリズリと顔を動かすと、手がズレて蒼羽の顔が見える。

全部、見える。

さっきよりも真っ赤に染まった顔が。

その目に溜まる、綺麗なものが。



「蒼羽…泣いてるの?」

「泣いてない」



「じゃあ…感動してるの?」

「~っ」



純粋に聞くフリをして、蒼羽の反応を楽しんでいた私。

最初こそやられっぱなしだった蒼羽。


だけど…



「本当、明里は良い度胸してるよね」

「え?」



ドサッと、私は地面に押し倒される。

ん?

押し倒される?



「え、あの…」

「安心して。背中が痛くないように、俺の服を下に敷いてるから」

「すごい早業だね……じゃなくて!」



なんで押し倒してるの⁉

っていうか蒼羽、お腹から血が出てるんだった!

さっきよりも血が出てるよ⁉



「びょ、病院!蒼羽、早く病院に行こ!」
< 213 / 235 >

この作品をシェア

pagetop