スキがない総長の大胆な溺愛
夜明け
その後、蒼羽はお腹の傷の事があり病院通いが続いた。
だけど、傷も治り、いつもの日常が戻って来た。
そんな、とある日。
「お世話になりました」
私は今日、蒼羽の家から卒業する。
「お世話になりましたっていうほど、いなかったけどね」
「ふふ、そうだね」
蒼羽への復讐もなくなり、私が蒼羽の家に住みつく理由はなくなった。
「自分のアパートに帰るね」と言った日は、蒼羽が沈んだ顔をしたけど…やっぱり寂しいのかな…?
「蒼羽…やっぱり寂しい?」
「付き合い始めた途端に”帰る”って言われて、俺は相当警戒されているんだろうなって凹んでたけど…」
「ん?ごめん、よく聞こえなかった」
「…いや、何でもないよ」
大きな荷物を持つ私を見て、蒼羽は諦めたように笑いながら、ため息をついた。
「持つよ。今度こそ」