スキがない総長の大胆な溺愛

すると一気に体の力が抜けて、床に座り込む。

「はぁ~~~~~」と限りなく無音に近い小声で、ため息をついた。



「(自分の部屋っていっても防音じゃないから、喋った声が丸聞こえだろうし…。どこにいても気を抜けない…)」



記憶喪失のフリも慣れないし。

自分の演技力にも自信がないし。



「(しっかりして私…っ)」



頭を抱えた、その時。

シャワーの流れる音が聞こえた。

そっか。お風呂に入るって言ってたもんね。



「お昼からお風呂って、変な人…」



「記憶喪失のフリ」をしている私が言えることじゃないけど…。

よくよく考えたら、私も充分に変な人だよね…。



だけど今のうちに…と、スマホを出す。

見始めたのは…ニュース一覧。



「(もしかして優利の事件がニュースに載っているかもしれない…!)」



何か情報がつかめるかも――!



だけど、ページをめくってもめくっても、詳細は載っていなかった。

というか、事件の事すら載ってない。
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