スキがない総長の大胆な溺愛
「……そうでもないよ」



加入して日が浅いのは知っているけど…蒼羽の気持ちが知りたい。

だけど本人は取り付く島もないのか、さらっと流すだけ。

「やっぱり月光の人達にも塩対応してるのかなぁ…」なんて心配した、その時だった。



「よぉ新入り~!」
「お前か!夜野蒼羽はー!」
「可愛い子連れてデートかぁ?」
「羨ましいなぁ~このこのぉ!」



たくさんの不良たちに、すれ違いざま、声を掛けられた。



「……」

「蒼羽、顔。顔!」



繋いでいた手に力を籠めると、蒼羽はハッと意識が戻り、浅く息をつく。



「誰、あの人たち…」

「月光のメンバーなんだろうね。蒼羽の事、知ってくれてるんだね」

「もう……」



蒼羽は、後ろを振り返る。

すると「月光」の人達も、蒼羽の方を見ていて…



「またなー夜野!」
「今度先輩になんかおごってくれー!」

「……嫌だね」



そんな会話が、繰り広げられた。
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