スキがない総長の大胆な溺愛

その後。



歩いてしばらくして、私のアパートに着く。

久しぶりのアパートに、懐かしさがこみ上げた。



「ただいま……私の部屋……」



思わず出た言葉に、蒼羽は「はは」と笑う。

そして、



「それはアイツにも言ってあげたら?」



と、指をさした。

その先には――



「優利…っ」

「明里、夜野……」



部屋から出て来た優利が、上から私たちを見つめていた。

優利とは、学校で事務的な話をした。

事務的な話というのは…


警察を呼んでくれてありがとう、とか。
蒼羽は無事だった、とか。
そんな当たり障りもない話。


優利も優利で、蒼羽に「ごめん」と「ありがとう」しか言わない。

そして、それきりだ。



ジャリ



優利が上から降りてきて、私たちの前に立つ。

そして、意を決したように、口を開いた。



「夜野…5分でいい。明里と話をさせてくれ」
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