スキがない総長の大胆な溺愛
蒼羽はチラッと私を見る。

「明里に聞いて」と言葉を添えて。

優利が私に視線を移したのを見て、私も頷く。



「私も…優利と話したかった。伝えたい事もあったの」



ポケットに入っているハンカチを思い出す。

お守りの効力は、まだ、切れていない。



「じゃあ先に部屋に入ってるね」



蒼羽は先に私の部屋で待っている事になった。

残った私たちは、それぞれの想いを…

今やっと、口にする。



「明里、色々ごめんな。兄貴に連れ去られた時もあったって蒼羽から聞いて。怖かったろ…本当にごめん」

「優利のせいじゃないよ。それに嵐太…じゃなくて、お兄さんの事で優利が悩んでいるの、ずっと知らなかった」


こんなに近くにいたのに


「私は優利の何も見えてなかったんだって…反省した」



すると優利は笑った。

「明里に何を反省することがあるんだよ」と。

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