スキがない総長の大胆な溺愛
「明里が思い悩むことじゃない。兄貴のことは……お袋もずっと悩んでてさ。なんとかして荒れた兄貴を戻してやりたいって、色々家族で話し合ってきたけど、最近は手が付けられなくて…。

言い方は悪いけど、兄貴を放置してたんだ」

「そっか……だからおばさんは、病院で沈んだ顔をしていたんだね」



――「学校に行くね」と言った私に、おばさんは力ない笑みで返す

――おばさんも優利の事にショックを受けているのか、ずっと沈んだ顔だった




私の言葉に、優利は情けなく笑った。



「俺…ずっと反面教師しててさ。兄貴みたいには絶対ならねぇって、ずっと笑ってようって…そう思って、兄貴から逃げてたんだ」

「優利…」



それを「逃げ」というのが、真っすぐな優利らしいと思った。

「だけど」と優利。



「俺、もう逃げない。兄貴とちゃんと向かい合う。って言っても、どこにいるか見当もついてないけど」
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