スキがない総長の大胆な溺愛
「今のバイクの音…どう聞いても大型バイクじゃん…っ」
大型バイクに、お腹の痛い人が乗って、正常に運転できる?
「(まさか事故とかして、もっとひどい状態で帰ってくるんじゃ…)」
そう思った時、脳裏に浮かぶ朝の優利。
ぐったりして顔色の悪い優利。
そして…
病院で管をつけて横たわる優利。
今の夜野くんと優利が、どうしても重なってしまう。
「……っ、でも…相手は夜野くんだから…っ」
優利と同じように、苦しんだらいいんだよ。
誰にも心配されずに、ひとりぼっちの中、痛い思いをすればいいんだよ。
優利にそうしたように、夜野くんも――
「(だから、追いかけるなんてバカげてる…)」
玄関に向いた足を、何とか引っ込める。
そして頭の中の雑念を払うように…近くに置いてあったテイッシュで床を拭いた。
お風呂上りの彼から垂れた水滴が、床のあちこちを濡らしていたから。
だけど、その時。
あることに気づく。