スキがない総長の大胆な溺愛
「ん?なに、この赤黒いの…」
床の色は濃い茶色。
そこにおちている、赤黒いシミ。
テイッシュで拭くと、それは…
「血…!?」
鮮やかな血。
さっき返してもらったハンカチに着いていたのと同じ色。
「まさか夜野くん…出血してるの?
ポケットに入れたハンカチに血が染み込むほど、酷い怪我をしてるの…っ?」
そう言った時には…
私の足は、再び玄関に向いていた。
そして勢いよく走り、靴に足を通す。
「…バカ、本当に…バカ!」
こんな怪我を内緒にしていた夜野くんも、
優利の仇である彼を心配して追いかける私も。
「(みんなみんな、大バカだ…っ)」
後はもう、必死だった。
相手はあの夜野くんなのに。
優利を傷つけた相手なのに。
凶悪な暴走族の総長なのに。
そんな事を考える暇もないくらい、急いで階段を降りていた。
「はぁ、はぁ…!」
だけど――