スキがない総長の大胆な溺愛
バキッ
鈍く重たい音がしたかと思うと、私を攫った人が、いつの間にか地面に倒れていた。
ちょうど私の目の前に倒れてきて…顔中が血まみれになっている。
「きゃあ!」
急いで目を閉じる。
だけど、嵐太と言う人に「ダメだ」と、顎を持たれた。
「こっちを見ろ、俺を見ろ……そうだ、そう。いい子じゃねーか」
「(こわ、い…怖い…っ)」
さっきの人みたいに、私も殴られるのかな…?それは、嫌…!
だから、言われた事に大人しく従った。
ゆっくりと瞳を開けて、強面の顔を目に焼き付ける。
「震えてんのか。それは良い事だ。暴走族は恐れられてこそだからな」
「暴走族…?」
「総長は俺な」
あぁ、そうか…そりゃそうだ。
私はやっと、理解する。
「あなたたち…は、夜野くんに…」