スキがない総長の大胆な溺愛
「どうせ俺が勝つのは分かってるんだけどさ。面倒だよね。この人数を殴らなきゃいけないんでしょ?」
「てめぇ…」
嵐太は口元を震わせて、怒りを露わにした。
だけど、ふと落ち着きを取り戻し「強気なのは昔のままだな」と言った後。
仲間に「やれ」と合図を送った。
「おい!!夜野ー!」
「今日こそお前を潰すからな!!」
「死なねー程度に加減してやるよ!!」
一斉に夜野くんに寄ってくる暴走族を目にして、私は「ひッ」と体を震わせる。
だけど彼はいたって冷静で…「大丈夫」と私の頭を撫でた。
「日向さんは俺の後ろにいてくれる?」
「う、ん…」
「決して動かないこと。いいね?」
「わ、かった…っ」
ニコリと笑った笑みを最後に、夜野くんは一人で大人数相手に立ち向かう。
殴ったりよけたりを、何度も繰り返して…
二十人くらいいた人数は、あっという間に蹴散らされた。
「(すごい、強い…っ)」
夜野くんが総長をしていると知っていたけど、まさかこんなに強いなんて…!
残るは総長の嵐太、ただ一人。