スキがない総長の大胆な溺愛
「一人きりになったけど大丈夫?」
「お前こそ。腹をかばいながら戦ってるが大丈夫か」
「(そうだ、お腹…!)」
今まで状況を理解するのに精いっぱいだったけど…。
そうだ、夜野くんはお腹に怪我してるんだった!
「(しかも血が出てるくらいの大けが…!それなのに、あんなに動き回って…!)」
さっきまで「もう安心かも」と思っていたけど、急に不安になった。
傷…悪化してるんじゃないの…?
だけど心配する私をよそに、彼は尚も不敵な笑みを浮かべている。
「ご心配どうも。だけどね、」
夜野くんは急に間合いをつめて、嵐太の頬に拳をつきつける。
バキッ。
この広場に、爽快な音が響き、そして木霊した。
見ると嵐太は地面に転がっていて、夜野くんが嵐太のお腹の上に片足を乗せていた。
「ガは…っ!!」
「何回蹴ってほしい?最低は百だよ」
倒れた嵐太のお腹に、夜野くんは何度も蹴りを入れる。
何度も、何度も…。
嵐太と言う人の口から、血が出てくるまで。
「君のワガママに俺を振り回すのは、もう最後にしてくれない?俺にも我慢の限界があるんだよね」