スキがない総長の大胆な溺愛

そう言ってニコッと笑う、その顔は…確かに王子様で…。

一瞬だけ、私は言葉を失った。



「そう…なの…。

えと、あ、じゃあ好きに呼んで…いいよ」

「うん。だから明里も俺の事は蒼羽って呼んで」

「え」



露骨に嫌そうな顔をした私を知ってか知らずか。

夜野くんは、また大きな口を開けて笑った。



「ほら。練習してみなよ。蒼羽って」

「あ、あお…っ」

「そうそう。いい調子」



その後…お腹の傷を見るのも忘れて、恥ずかしさの極限の中で、名前を呼ぶ練習をさせられる。



「あ、蒼羽…ッ!」

「そう。良くできたね」



ニコリと笑う顔が、本当に嬉しそう…。

ただ名前を呼ばれただけなのに、単純だなぁ…。



「ふぅ…。じゃあ、お腹の手当を、」



たどたどしい手つきで服をめくる。

すると夜野くん…じゃなくて蒼羽は「ピュウ」と高い音で口笛を吹いた。



「へぇ。意外にも明里は大胆だね」
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