スキがない総長の大胆な溺愛
*蒼羽*
*蒼羽*
ザアアアアとシャワーの音が聞こえる。
自分以外の誰かが、この家にいるなんて変な感じだ。
ピロン
「ん?」
机の上にあったスマホ。
それは明里の。
「メール…」
通知で光った画面に、メールの内容の冒頭が見える。
そこには――
『優利は元気だよ。ご飯もきちんと食べてるから心配しないでね。明里ちゃんは、』
ここまでの文面が見えた。
「記憶喪失、か…。
ほんと、大したもんだ」
ふっと、一度だけ笑って。
聞こえてくるシャワーの音を、ただ聞いた。
「今の天気は…なんだろうね」
それだけ呟いて、騒々しかった一日を終わらせるように。
静かに、ゆっくり目を閉じた――
*蒼羽*end