スキがない総長の大胆な溺愛
蒼羽の端正な顔がグッと近くに寄る。
どうやら蒼羽くんの熱の確認の仕方は、手のひらじゃなくておでこのようだった。
「うわ、アツ。熱あるね」
おでこをぴったりとくっつけた瞬間に、蒼羽は驚いた声を出した。
ビー玉のような瞳が、ゆらりと揺れたのが見える。
「(蒼羽との近すぎる距離に、眩暈がする…。熱のせいかな)」
スマホを操作する蒼羽を見ながら「熱のせいで体が重かったのね」と考える。
「(昨日、薄着で外に連れ出されたから…広場にも長い間いたし)」
そういえばバイクに乗る時に、蒼羽は私にアウターを貸してくれようとしたんだけど…断っちゃったんだよね…。
薄着でバイクに乗ったのも良くなかったんだ…。
「あ、あった。ここからだと、この病院が近いよ」