スキがない総長の大胆な溺愛
「うん。こっちの方がいいかなって。なんとなく」

「なんとなく…」



熱のせいで思考力が鈍くなり「分かった」と、全く訳が分からないままバイクを降りる。


「…降りれない?」
「その通りです…」


自力では降りれなくて、結局は蒼羽に抱っこして降ろしてもらったけど。



「じゃあ俺は行く所があるから。終わったらメールして。迎えに来る」

「あ、りがとう…」



蒼羽は手をひらっとさせて、バイクを走らせた。

スピードが速いから、ぐんぐんと遠くなる。



「…行こうか」



私は病院に入る。

向かう先は、もちろん…

優利の病室。


ガラッ



「優利…」



話すのを楽しみにしていたけど、また優利は寝ていた。

規則正しく呼吸し、静かに眠っている。



「(昨日よりも、もっと顔色が良い。良かった)」
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