スキがない総長の大胆な溺愛

ホッと安心して、優利の大きな手を握る。

温かい…。昨日の冷たさが嘘のよう。



「優利…良かった」



すると…キュッと。

優利が私の手を軽く握る。

顔を見ると…少し笑っているようにも見える。

やっぱり優利には、笑顔が似合うなぁ…。



「(優利から笑顔を奪った蒼羽に、絶対に復讐するからね)」



前途多難そうだけど…

という言葉は呑み込んで。

スヤスヤ眠る優利を見て、病室を後にした。

そして出口まで何とか歩いて病院を出る…のだけど……



「本格的にしんどくなってきたなぁ…」



熱が出ている時に、大きな病院を歩くものじゃないね…。

絶対に熱が上がってる気がする。

足もフワフワしてきたし…。



「そうだ、蒼羽にメールしなきゃ…」



そう思って駐車場の前で立ち止まった、

その時だった。



「あ、生吹(いぶき)くん?美月だよ。

今、純弥先輩のいる病院に着いたの。帰る時は電話するね」
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