スキがない総長の大胆な溺愛

「(優利のいる病院に私を連れて来ておきながら…。

どういう気持ちで、私を迎えに来てくれたんだろう)」



私が「迎えに来て」ってメールを送らなかったら、蒼羽はどんな顔をするんだろう。

私が病院を出て二度と帰ってこなかったら、蒼羽はどう思うんだろう。



「(いや…やっぱり、どうも思わないか)」



所詮、最初から無理があった同居だし。

訳の分からないまま始まった関係だもん。



「(きっと蒼羽は、私がいなくなっても何も思わないんだろうな)」



そう思いながら、蒼羽の元へ歩く。

そして「一緒に帰ろう」と言うと…



「…いいんだね?」



蒼羽が、ギュッと私を抱きしめた。

力強く、だけど苦しくない程度の力で。



「いいも何も…今は蒼羽のアパートが私の帰る家だもん」
< 58 / 235 >

この作品をシェア

pagetop