スキがない総長の大胆な溺愛
「…そっか」



「まだ記憶が戻ってないしね」

「はは…そうだったね」



蒼羽の頭が、私の頭によりかかっている。

まるで、犬が飼い主にすり寄るような…。



「蒼羽…犬みたい…」

「忠実に迎えに来てるし、間違いじゃないかもよ?」

「そこはプライド持ってよ」



ふふ、と笑うと、急に蒼羽が静かになった。

まさか怒った…?

体を離して、恐る恐る顔を見ると…



「プライド、か」



と弱々しく笑う蒼羽。

そして、



「そんなもの、とっくの昔に捨てたよ」



それだけ言って、私にヘルメットを渡した。

何か意味がありそうな言葉。

だけど、それ以上は聞く事が出来ない…重たい言葉。



「(ほのめかす癖に、私を寄せ付けないようにしっかり線引きするんだから。やっぱり蒼羽は変な人)」
< 59 / 235 >

この作品をシェア

pagetop