スキがない総長の大胆な溺愛
「(本当に復讐なんて出来るのかな…)」
弱った体には、弱った思考がつきものとは知りつつも…
見切り発車で「記憶喪失のフリ」を始めた自分を少し恨めしく思う。
「(蒼羽の目には、どんな風に私が移ってるんだろう…)」
優利の復讐相手の蒼羽に、一向に近づいている気がしないまま。
複雑な感情が混ざり合うアパートへ、二人揃って戻って来た。
◇
「明里、ゼリーいる?」
「…うん。ほしいかも」
「じゃあ、アーンしてみようか」
「……」
現在、バイクで帰って来てからしばらく経った私の部屋。
蒼羽は大量の一口ゼリーを持ってきて、私の部屋を訪れていた。
「一口ゼリーなら…一人で食べられるよ…?」
「遠慮しないで」