スキがない総長の大胆な溺愛
「(遠慮じゃなくて拒否なんだけど…)」



だけど熱がしんどくて、体を動かすのが重たい。

蒼羽は「アーン」しないと部屋を出て行ってくれなさそうだし…。

ここは大人しく、一度だけ食べさせてもらうしかないかな…。



「じゃあ、一個だけ…」

「うん」



そう言って蒼羽は、レモン味のゼリーを一つとって、自分の口に入れた。

ん?



「なんで蒼羽が食べてるの…?」

「ん」

「ん…⁉」



急に蒼羽の顔が近づいてきて…えっと、なに?これ…。

全く反応を見せなかった私。

先に折れたのは、蒼羽だった。



「(ゴクン)レモン味おいしいよ?嫌い?」

「いや、そうじゃなくて…」

「もしかして口移しが嫌だった?」



…それ以外に理由があるの?



あまりにナチュラルに聞いてくるから、私の常識が違うのかと思ったじゃん…。

いくら病人だからって、さすがに口移しでゼリーは貰いません。



「もう、寝てもいい…?」
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