スキがない総長の大胆な溺愛
「へぇ、二個上の先輩なんだ。じゃなくて…え?なんで知って、」

「暴走族に入ってる連中で、その名を知らない奴はいないからね」



私と視線を逸らしたままの蒼羽。

何でもない風を装っていたけど、急に肩を落として「はぁ~」と長いため息をつく。



「いくら春風生吹が温厚派だからって、無暗(むやみ)に近づくのはやめて。昨日も暴走族と関わって痛い目に遭ったばかりだよね?」

「そう…だけど……でも、」

「嵐太の言ってることはウソだよ。嵐太が作った今の暴走族は【銀狼】(ぎんろう)。

思ったよりメンバーが集まらなくて、嵐太が咄嗟に【月光】の名を使ったんだと思うよ」



「月光」に憧れてる奴は多いからね



「【月光】だと分かれば、何人もの奴がこぞって加入したがる。虎の威を借る狐だよ。いつもの嵐太の手口だ」
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