スキがない総長の大胆な溺愛
「ねぇ明里…ずっと見つめないで。さすがに恥ずかしい」
「え、私いま見つめてた?」
「自覚ないの?」
全然なかった……。
私が蒼羽を無意識のうちに見つめるなんて…どうやら蒼羽同様。私も今日は、変みたい。
「(心配してもらった事が嬉しかったのかな…?私って単純)」
だけど、何だか蒼羽に近づけたようで。
蒼羽の心の内に、足の先だけでも入れたようで。
二人の距離が少し縮まったのかな?と期待してしまう。
「(距離が近くなればなるほど、復讐しやすいもんね…)」
安心した私の顔を、ちょうど蒼羽に見られてしまって…慌てて目を逸らす。
「は、話は戻るけど!」と下手くそな演技で誤魔化した。
「春風生吹と言う人がいくら怖かろうと…嵐太がニセの【月光】を名乗るのは見過ごせないよ。
仲間の人だって、何人もの人が騙されてるだろうし。憧れを抱いて入った暴走族が、噂とは全然違うって……そんなの、なんか可哀想じゃん…」