スキがない総長の大胆な溺愛

情に訴える作戦に出たけど、今の蒼羽には何を言ってもダメらしい。

どんな言葉だって、軽くあしらわれて、それで終わり。



「変な正義感はやめときなって。明里が何かせずとも、いずれ【月光】が制裁を下すよ」

「でも…」



「むしろ明里が介入することでややこしくなる。最悪…俺も参戦しかねないし。そうなると族同士の乱闘だよ。事件にまでなりそう」

「べ、別にそこまで言わなくても、」



「はい。この話は終わり。いいね?」

「……」



暴走族の世界に勝手に連れ込んでおいて…いざこっちが近づけば、自分から遠ざかる。

人の事は知ろうとするくせに、自分の手の内は一切明かさない。



「そんなの、ズルい…」

「明里?今、」



何か言った?



という言葉を言わせないまま。

自分の枕を、ブンッと蒼羽に投げつける。

それは蒼羽の顔にクリーンヒットしてしまったけど…

私は決して悪くない。

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