スキがない総長の大胆な溺愛
俺の所に集まる仲間たちは、口々にそんな事を話していた。

確かに、嵐太は自分本位にいつも行動し、敵も味方も関係なく、理不尽に殴る蹴るを繰り返していたからね。

仲間の心が嵐太から離れていったのは、必然だったと思う。


だけど俺がチヤホヤされて面白くなかったのは…もちろん嵐太だ。



たかが右腕の分際で――



心無い言葉を言われるようになり、結局は俺自身も、嵐太から離れて行動するようになった。


だけど、それがいけなかったらしい。


堪忍袋の緒が切れたのか…まるで熱した油に水を入れるように。

ある日突然、ハジけるように、

俺を陥れようと、嵐太は行動に移した。



嵐太からコンビニに誘われて、珍しく行動を共にした、あの日。



『君、鞄の中のものを見せなさい』



俺は嵐太にはめられて、万引き犯にさせられた。

どうりで。

嵐太はコンビニについた時から、俺の背後にずっといた。

今か今かと、その瞬間を伺っていたらしい。


そして俺が一瞬気を抜いた、その時に。
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