スキがない総長の大胆な溺愛
俺の鞄に、未精算の商品を放り込んだ。
俺が店の奥で警察に質問攻めを受けている間に、
嵐太はさっさと逃げやがった。
『離せ!俺ははめられたんだよ!!』
どんなに暴れても、どんなに仲間を呼んでも…
誰も来なかった。
嵐太に逆らえば、俺みたいに社会的地位を簡単に失うと分かったからだ。
俺は見世物(みせもの)にされたんだ。
『刑務所でもどこでも…連れていけば』
全てに絶望して…
仲間だと思ってた奴らとの絆も、上辺だけだったと理解して…
自棄(やけ)になり、無実であるにも関わらず、なるようになれと一切反論しなかった。
だけど、その時だった。
『ちょっといいですか?』
「月光」の総長、春風生吹が顔を出したのは。