スキがない総長の大胆な溺愛

『君は…』

『どうもご無沙汰しています』



「月光」は街のためによく働く。

功労賞とか感謝状とかを星の数ほどもらっている変な暴走族だ。

しかし…精鋭部隊揃いの、負け知らずの猛者たちの集まりでもある。


警察も、日ごろから街のために尽力してもらっている春風を無下には扱えないようだった。

春風はそれを知っているのか、警察にわき目を振らずに俺の元へ来る。

そして…



『おい諦めるな。何もしていないなら無実だと言え』

『……は?』

『ここで反論しないと、良からぬ噂が今後お前にまとわりつく。俺は噂が嫌いだ。お前は違うのか?』

『…っ』



何も言わず顔を下げるだけの俺。

そんな俺を見て春風生吹は「あぁ」と、俺を見下して笑った。



『……今のお前だと力不足か。ここまでが限界だよな。無茶な事を言って悪かった』
< 89 / 235 >

この作品をシェア

pagetop