スキがない総長の大胆な溺愛
「日向さん。ごめんね、こんな所まで着いてきてもらって」
「え、あ…い、いや、別に…っ」
「しかも…こんな人気の無い所に、俺と2人きりでなんて」
「こ、校舎裏、だもんね…っ」
現在、お昼休み。
校舎の影で暗くなった場所に、2人きりで向かい合っている。
私の目の前には――
「(夜野蒼羽…!!)」
なんで!?
どうして!?
なんで今、優利の敵と私は2人きりでいるの!?
「(なんでこうなったんだっけ…!?)」
パニックになる頭を抱えながら、思い出す。
そう、確か…。
四限目の終わりを告げるチャイムが鳴ってすぐ。
軽い音で「コンコン」と、私の机を叩く手が見えた。
その手を辿ると…隣の席。
目を向けると、なんと…
夜野蒼羽が、私に微笑んでいた。
『よ、るの…蒼羽…くん…?』
『はは、なんでフルネーム?』
笑ってる…のに、心を許してる感じが全然しない。
本当に高校一年生なの?っていうくらいのオーラがある。