スキがない総長の大胆な溺愛
『それでも。俺も…色んな人に助けられてきた』



そう言って目を伏せる春風。

けど、パッと顔を上げて「これからどうするんだ」と聞いた。



『大狼の総長は…俺が潰す。あんな族は…無くなった方がいいって気づいた』

『それで、君が新しい総長に?』



『なる。だけど…仲間は皆、追放する。メンバーは俺一人でいい』

『そんなイレギュラーな暴走族……』



と言って、春風は少し黙った。

かと思えば、口角をあげて笑う。



『いや、そうだな。暴走族の形なんて、それこそ星の数ほどあるんだ。二つの暴走族を兼任する総長もいれば、孤立無援の総長がいたっていい』

『? どういう…』



だけど春風は、手を上げて踵を返した。

名前は決めてるのか?――という言葉を最後に。



『白狼…一匹オオカミな俺にぴったりだよ』
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