ひだまりで誓う桜色の愛
小学校卒業後は、陽菜と一部の同級生と一緒に公立の中学に入学した。


8割近くが他校出身。それでいて、陽菜とは別のクラス。

上手くやっていけるか不安を抱えていたのだが、同じ班だった新淵と、その友達の華江が声をかけてきてくれたおかげで、独りぼっちは回避できた。


しかし……俺が医者の息子だという噂が広まったのか、肩書きに惹かれた生徒達からもてはやされるようになった。


廊下を歩けばチラチラと見られ、教室にいても窓から覗き込まれ。

小学校の時とは手のひらを返したような扱いに虫酸が走り、毎日ぐったりしていた。


けれど、放課後になると……。



『教科ごとに先生がいると、顔と名前覚えるの大変だよね』

『ロングヘアの髪型、2つしかないの厳しすぎる! せめて三つ編みくらいオッケーにしてほしいぃぃ』

『GWに、新しくできた友達とお昼ご飯食べに行ったんだ〜』



陽菜に会えば、疲れも一瞬で吹き飛んでいった。


噂は全学年に広まっていたので、当然隣のクラスにも届いていただろう。

でも陽菜は出会った頃と変わらない明るい笑顔で接してくれた。
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