ひだまりで誓う桜色の愛
「別れた次の日だったから、ごめんねの一言も言えなくて」

「……死因は、何だったの?」

「……自殺。彼女のお母さんが言うには、朝起こしに行ったら、ベッドの上で冷たくなってたって」



東屋を後にし、駐車場へ向かいながら話を続ける。


最初に異変が現れたのは、付き合って1年が過ぎた頃。

母から、陽菜がドラッグストアで大量に薬を購入していたのを見たと聞かされた。


母いわく、『目についた物を片っ端からかごに入れていた』、『ざっと数えて10種類以上はあった』のだと。


はじめはおつかいを頼まれたのではと思ったのだけど、いくらなんでも種類が多すぎる。

それにもし頼まれたのならば、間違えて買わないよう念入りに確認するはず。


全部1人で服用するとは限らないが、心配になって、翌朝、登校中に尋ねてみたのだけれど……。



『女の子には、色々とあるんだよ。男の子にはわからない悩みが』



気まずそうな顔で突っぱねられてしまった。


帰宅後、母に話したところ、かごの中に生理用の鎮痛剤もいくつか入っていたと言われ、それ以来、彼女の体調に関して首を突っ込むのはやめた。
< 109 / 142 >

この作品をシェア

pagetop