ひだまりで誓う桜色の愛
気持ちはありがたかった。けど、さすがに深夜に部屋を抜け出すのはまずいと判断し、丁重にお断り。

代わりに、写真撮影の時間が来るまで、ロビーのソファーでおしゃべりして過ごした。


この時、ちゃんと話し合うべきだった。


陽菜は突拍子もないことを言い出すタイプじゃない。

校則の厳しさに文句を垂れても、自ら破ることはしない人間だって、わかっていたのに。


なのに俺は、修学旅行で気分が舞い上がっていたのかなと思い込んで、軽い注意だけで済ませてしまった。


駐車場を出て千早さんの家まで車を走らせる。


修学旅行から帰ってきた後は、別々に登下校するようになった。


あの夜から若干気まずい空気が流れていたので、こっちから連絡するのは控えていた。

だがある日、陽菜の担任の先生から、宿題のプリントを届けてほしいと頼まれて。

そこで初めて、陽菜が学校を休んでいると知った。


どうやらここ最近体調が優れず、遅刻と早退を繰り返しており、不安にさせたくなくて黙っていたのだと。
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