ひだまりで誓う桜色の愛
数日後、元気になったよと連絡が来て、翌週から2人での登下校を再開した。


けれど……やはり完全に回復はしていなかったようで。昼休みは保健室で過ごしたり、体育の授業も休んでいたらしい。


どうして、もっと寄り添ってあげられなかったのだろう。


なんとなくわかっていたんだ。
陽菜がずっと何かに苦しんでいて、我慢していたこと。


本当は助けたかった。相談にも乗ってあげたかった。

けど俺は、『大丈夫』という言葉を鵜呑みにして、踏み込みすぎないように距離を取っていた。


これから先も一緒にいたいのなら、嫌われる覚悟を持って向き合わないといけなかったのに。

陽菜を失うのが怖くて、ずっと逃げ続けていた。


その結果──。



「ホワイトデーの夜に、『私たち別れよう』ってメッセージが来たんだ」



何かの間違いだと思った。

だって、数時間前まで、彼女の家の玄関で一緒にお菓子を食べていたんだから。



「何度も電話したんだけど、全然繋がらなくて。家に行っても、会ってくれなくて」
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