ひだまりで誓う桜色の愛
何の前触れもなく、突然訪れた別れ。

冷静になって話を聞くべきだったんだけど、まだ幼かった俺は、自分本位な言動しかできなくて。



『どうして? 悪いところがあるなら直すから』

『約束したじゃん。大人になっても一緒にいるって』

『お願い、考え直して。このまま終わるなんて嫌だよ』



引き止めるのに必死で、毎日メッセージを送っては電話をかけ、待ち伏せしては家に押しかけていた。

陽菜がどんな気持ちで別れを切り出したのか、考えようともせず。

一方的に感情をぶつけて、閉ざされた心を無理矢理こじ開けようとした。


そしてとうとう──。



『もう、宗星と一緒にいると辛いの』

『大嫌い……っ』



放課後を告げるチャイムが鳴り響く昇降口の前で、拒絶されてしまった。


涙目で言い放つ姿、逃げるように走り去っていく後ろ姿が、脳裏に焼きついて離れなくて。

今も思い出しただけで胸が張り裂けそうになる。


この翌日、帰りのホームルームで、担任の先生から陽菜が亡くなったと知らされた。
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