ひだまりで誓う桜色の愛
脅しの文章と、巧妙に作られた着替えの写真が送られてきていたという。


実際は盗撮などされていなかったのだが、写っていた場所が自分の席と近かったため、本物だと信じ込んでしまったのではないか、と。


隠された事実を知った瞬間、膝から崩れ落ちた。


極端な選択に至った原因はいじめだったが、そのきっかけを作ったのは俺だった。

俺が告白さえしなければ、悲しい結末をたどることはなかった。


恋人にならなくても大切にすることはできたはず。

友達関係のままでも充分幸せだったのに。


俺がもっと幸せを望んでしまったから。
陽菜を独り占めしたいと欲張ってしまったから。


だけど、誰も俺を責めなかった。


新淵と華江は、何も言わず抱きしめてくれた。

陽菜の友人やクラスメイト、先生からは、『気づけなくてごめん』『助けてあげられなくてごめん』と、逆に謝罪をもらった。


中でもご両親は、最愛の娘を亡くして悲しみに打ちひしがれているはずなのに。

真っ先に駆け寄ってきて、『宗星くんのせいじゃないよ』と背中を擦ってくれた。
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