ひだまりで誓う桜色の愛
思い出のロックナンバー
──ピピピ、ピピピ。



全身鏡の前で身なりを整えていると、スマホのアラームが鳴った。

手提げバッグと花束を持って部屋を後にし、戸締まりをして家を出る。


春分前日の月曜の午後。

雲間から太陽の光が射し込んでいて、風も弱く、穏やかな陽気に包まれている。


駐車場に視線を落とすと、1台の白い車が目に飛び込んできた。

鍵をかけて階段を下り、車内で手を振る彼の元へ向かう。



「お迎えありがとう」

「いえいえ。それ、ユリの花?」

「うんっ。白にしちゃったけど、良かったかな?」

「大丈夫。花全般大好きだから。飛び跳ねて喜ぶと思うよ」



窓越しに挨拶をし、後部座席に荷物を置いて助手席に乗り込む。


白シャツにベージュジャケットのセットアップスタイルの沢村くん。

私は白襟に膝下丈の紺色ワンピース。


ピアノの発表会に行くようなフォーマルな服装だけど、行き先はコンサート会場ではなく──。



「ご家族の方は、誰がいらっしゃるの?」
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