ひだまりで誓う桜色の愛
痛ましく悲しい事件。


当時は連日報道されていたのだが、ちょうどその時期は年度末。

学校で触れたのは、修了式の日の1回きり。

毎日話題にしていた母も、忙しさから2日に1回、3日に1回と、徐々に減っていき……。


新年度を迎える頃には、入学式や入社式などのおめでたいニュースに埋もれ、誰1人として口にしなくなっていた。



「小学生の頃は、妹も交えて5人で遊んでたんだ。かけっことか鬼ごっことか」

「家族ぐるみで仲良しだったんだね」

「うん。お互いに有給取って、大きい公園でお花見したりしてた。まぁ、途中から飽きて男女に分かれちゃうんだけど」

「へぇ〜、いいね〜」

「……」

「……」

「まだ、抜けきれないか」

「ううっ……」



車が停止したタイミングで隣に目を向けたら、クスクス笑いながらこっちを見ていた。



「大丈夫だよ。家族全員オッケーしてくれたんだから」

「そうだけど……」
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