ひだまりで誓う桜色の愛
突然お願いされた、命日参りの同行。

全く面識のない人間が行ってもいいのかと迷ったのだが、彼の気持ちを後押ししたかったため、その場で了承した。


ただ、女子の世界の裏側を思い出してしまって……。



「やきもち焼かれないかな……」



ネガティブな妄想が止まらない。


霊感ないから直接被害を受けることはないとは思うけど……見えない力の威力ってすごいって言うじゃない? 虫の知らせとか直感とか。


いくら陽菜さんが優しい人だったとしても、元恋人だったわけだし。


今この瞬間も、天国から双眼鏡で観察しながら、彼女にふさわしいか見定めてたり……なんて。


「気にしすぎだよ」と笑われるも、不安は消えず。

流れる景色を眺めていたら、あっという間に彼女の家に着いてしまった。



「わぁ、お花がいっぱいだ」

「毎年春が来ると、家族みんなで飾りつけるんだって」



車から降りて後部座席から荷物を取り出す。


私の家と同じ、2階建ての一軒家。

玄関先には色とりどりの花が咲いており、駐車場にも鉢植えの植物が飾られていた。
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