ひだまりで誓う桜色の愛
「姉ちゃん、お疲れ様ー!」



スマホを握りしめたまま道路に出たら、どこからか労う声が聞こえた。

声がしたほうを見てみると、駐車場で制服姿の男の子が私に向かって手を振っている。


茶髪に細身の体型。達希くんが言っていた特徴とピッタリ一致。

まさか……。



「もー、5時に終わるって聞いたのに遅いよーっ」

「ごめん。ちょっと話し込んじゃって」



どうやらお客さんは、3つ下の弟、柊太(しゅうた)だったらしい。



「それより、なんでここにいるの? 部活は?」

「早退させてもらった」

「えっ、どこか具合悪かったの?」

「全然。さっき雨降ったからさ」



チラッと視線を落とすと、アスファルトの色が濃くなっている。


そういえば、髪の毛が少し濡れてたお客さん、何人かいたっけ。てっきり暖房で汗かいてたのかと思ってた。

傘持ってる人はいなかったから、多分一時的に降ったんだろうな。
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