ひだまりで誓う桜色の愛
私と出会ってくれてありがとう。
私を好きになってくれてありがとう。

私にとって宗星は、かけがえのない親友であり、世界で一番愛した人です。


もし辛いなら、私のことはきれいさっぱり忘れていいから。


幸せになるのを恐れないで。
あなたの人生をまっとうしてください。

彼女さん(奥さん)のこと、大切にするんだよ!

空の上から見守っています。


陽菜より



最後の1文を読み終えた瞬間、ボタッボタッと涙が落ちた。



「バカっ、今更遅いんだよ……っ」



丸みを帯びつつも整った彼女の名前が、彼の涙で滲んでいく。


……最初から全部、お見通しだったんだね。


年月が経っても、大人になっても。

彼がとても優しくて、繊細で、純粋で。
誰よりも強くて……脆かったってこと。


涙で視界がぼやける中、仏壇上の写真と目を合わせる。


悩んで苦しんで、毎日もがきながらも懸命に生きたあなたのことは、一生忘れません。

あなたの真っ直ぐな思い──私が、しっかりと引き継ぎます。


手紙を持つ手に自分の手を重ね、しゃくり上げて泣く彼の背中を擦り続けた。
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