ひだまりで誓う桜色の愛
けど……まだ付き合ってもないのに、その触り方はずるいって……っ。


何するのと言わんばかりにへの字口で睨むも、全く動じず、緩やかに口角を上げている。

むしろ、なんだか楽しそう?

もしかして、私が照れるのをわかっててわざとやってる?


はぁ……これが交際経験有無の差か……。

今後どれだけ仲を深めても、この差は一生埋まらないんだろうな。



「っそ、それよりさ! 何持ってきたの?」



声を張り上げて話題を自分から沢村くんへ移す。


彼の手に握られている、表面がツルンとした素材の真っ白な紙袋。

先週持ち歩いてたトートバッグよりも、ふた周りは大きい。

コートやブーツがすっぽり入る特大サイズだ。



「お菓子? それとも私への誕生日プレゼント?」

「そうだよ」



冗談半分で尋ねたら当たってしまった。

紙袋がテーブルの上に置かれると、沢村くんは面食らう私の顔を見てクスッと笑い……。



「誕生日おめでとう」
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