ひだまりで誓う桜色の愛
淡いピンクの包装紙にくるまれた、色鮮やかな花束を取り出した。

かすみ草に囲まれた赤とピンクのチューリップが、それぞれ6本ずつ。



「僕と付き合ってください」

「はい、もちろん」



返事をして花束を受け取ると、両目から涙がこぼれ落ちた。



「待たせてごめんね」

「ううん、ありがとう……っ」



指で涙を拭ってもらいながら、あれやこれやと気の早いことを考える。


家族にはいつ報告しようか。

結婚式はお花をふんだんに使った式にする?
前撮りの写真も花畑で撮りたいな。

子供はどんな子が生まれてくるだろう?

沢村くん似なら頭がいい子か、私に似るなら運動が好きな子かな? それか文武両道の子だったりして。


沸騰したお湯みたいにポコポコと浮かんでくるけれど、まずはその前に。



「沢村くん」

「ん?」

「これから先、幸せな人生を歩んでいこうね」



真っ直ぐ目を見て伝えると、優しく微笑んで頷いてくれた。


何十年にも及ぶ、長いようで短い人生。


どんなに高くて分厚い壁が現れても。

歳を重ねて、おじいちゃんおばあちゃんになっても。


手と手を取り合って一緒に生きていこうね。


柔らかな日差しが射し込む桜の木の下で、永遠の愛を誓った。



END
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