ひだまりで誓う桜色の愛
始まりの車椅子
「千早 桜月さまー」



クラシックの音色にうつらうつらしていると、受付の看護師さんに名前を呼ばれた。



「大変お待たせしました。診察室にどうぞ」

「は、はいっ」



慌てて立ち上がり、荷物を持って待合スペースを後にする。



「失礼しまーす」

「千早さん。こんにちは」



診察室のドアを開けると、担当医の先生がにこやかに迎えてくれた。


沢村くんがカフェに訪れてから数日が経った月曜日。

今日はバイトが休みなので、定期健診を受けにきた。



「こんにちは。お久しぶりです」

「久しぶり。遅くなってごめんね。予約してた患者さんが多くって」

「いえいえ。休日明けですし。私こそ、いきなり来てすみません」



現在の時刻は、午前11時に差しかかるところ。


2時間以上待たされたけど、予約者優先ならば仕方がない。

だってここは来院者が1番多い総合病院。予約必須なのは当たり前。


だけど、長期休暇に入ると毎回忘れるんだよね。
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