ひだまりで誓う桜色の愛
テイクアウト用のカップを手に取ったタイミングで、店長から指示が飛んできた。

短く返事をし、素早くコーヒーを入れる。


去年の春、友人の紹介により、書類選考をパスして面接に進んだ。

だけど、正直、採用されるとは全く思っていなかった。


というのも──私はとある事情で、長時間の勤務ができないから。


このカフェは、半径500メートル圏内に複数の学校と、徒歩10分の距離に駅という、アクセス抜群の場所に建っている。

さらに、季節問わず連日行列ができるほどの人気っぷり。


高い競争率かつ厳しい条件とわかっていながらも、ダメ元で挑戦した。

その結果……なんと奇跡的に合格。

店長によると、就職が決まって卒業する学生が多く、土日祝日に入ってくれる子を探していたんだそう。


電話が来た時、『やったー!』ってベッドの上で叫んだなぁ。

すごく嬉しかったから、雇ってくれた感謝を込めて、長期休暇中は土日祝日に加えて平日も働いているんだ。



「桜月先輩、トッピングってどうすればいいですか……?」
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